ワイドギャップ半導体ZnOの単結晶作製とドーピングによる電気伝導および誘電特性の測定
ZnOの基本的性質
ZnOは電子セラミック材料として、様々な分野に応用されている物質である。
結晶構造は六方晶系(ウルツ鉱型)、空間群はP63mc、格子定数はa=3.249Å、b=3.249Å、c=5.207Åで、c軸方向に極性を持つため圧電性を持っている。
室温で3.3eVの広いバンドギャップを持ち、紫外領域の発光が期待されている。
Zn2+が過剰になりやすく、格子間Zn2+またはO2-の空孔によりn型半導体となる。
ZnO単結晶作製(Single Crystal of zinc oxide)
ZnOの融点は約2000℃であり、さらに融点に達すると昇華してしまう性質があるため、単純に加熱融解させて単結晶を作るのは難しい。そこでZnOとPbF2の混合物が共融点を持つことを利用し、再結晶法にてZnOの単結晶を作成する。用いる試料の量や加熱・冷却の時間を調節することで、大きく厚い単結晶の生成を目指す。
図1. ZnOとPbF2の相図
左図はZnOとPbF2のおおよその相図である。
例えば、モル比でZnO:PbF2=2:8の割合で混合すると、1100℃程度に加熱してから1〜10℃/hで冷却することでZnOの単結晶が再結晶により生成する。
ZnOへのドーピング効果
ZnOはドーピングにより比抵抗が大きく変化し、Al3+ドープでは10-4[Ω・cm]、Li+ドープでは1010[Ω・cm]と実に1014[Ω・cm]もの変化を示す。
Znを一部Liで置換したものは強誘電体特性を示すことが知られているが、メカニズムはまだはっきりとは分かっていない。
粉末状のZnOとLi2CO3を混合し、焼成することでZnOのZnがLiで置換され、Zn1-xLixOが生成する。このxの値はZnOとLi2CO3の混合の割合で決めることができる。
当研究室ではxの値を変化させながらZn1-xLixOを作製し、Zn1-xLixOの誘電特性を測定していく。