フォトニック結晶とは
誘電率の違う二種類の物質を交互に並べた人工物質を作製し、そこに光を入射させると、その光は誘電率の周期性を感じながら物質内を進むことになります。これは、周期的に原子が並んだ結晶の中を、電子が通るという状況と似通っているため、この人工物質を、光(フォトン)に対する結晶という意味を込めて「フォトニック結晶」と呼びます。また結晶中の電子の分散関係(エネルギーと波数の関係)を電子のバンドと呼ぶのにならって、フォトニック結晶中の光の分散関係を「フォトニックバンド」と呼びます。フォトニックバンドには電子のバンドと同じようにバンドギャップ(状態がないエネルギー領域)があり、これを「フォトニックバンドギャップ」と呼びます。結晶中でバンドギャップに相当するエネルギーの電子が存在できないのと同じように、フォトニックバンドギャップに相当する周波数の光はフォトニック結晶中に存在できません。そのため、そのような光をフォトニック結晶に照射すると光は100% 跳ね返ってきます。このような性質をはじめフォトニック結晶中の光はフォトニックバンドを反映したさまざまな性質を持つため、フォトニック結晶を用いて光の進む方向や強度などを制御できないかここ 10 年ほど世界中で精力的に研究されています。
本研究室で行っている事
本研究室では、「フォトニック結晶中では光の速さが波長によって大きく変わる」という性質を利用して、パルス光を制御するデバイスができないかという検討を数値計算を用いたシミュレーションにより行っております。また企業との共同研究により、実際に設計したデバイスの作製およびその性能評価を行っております。